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幕間玖_side結衣



仕方ないじゃない、と思う。
私の一番は、いつだってミマだったんだから。
ミマを超える人なんて、居るわけがない。



「だからさ、結衣はどんな男の子が好き?」
さゆりの言葉に、私はすぐにミマを想う。



ミマは素敵だ。
カッコいい、とは違う。そんな軽く浮ついたもんじゃない。彼は素敵なのだ。



優しくて、だけどアグレッシブなところもある。
普段は私達を怖がらせちゃいけないとばかりに、綿菓子みたいにふわふわで甘い面しか見せないけど、私は知ってる。ダメだと判断したものには、クールに切り捨てる冷淡なところもあるってことを。



だから、私は嫌われないように、いつだってミマの前では、子供じみた我儘を封印して、大人ぶって背伸びする。ミマと会話をするために、難しい本だってたくさん読む。すると、ミマはいつだって褒めてくれるのだ。



「俺の可愛い天使」って。



ミマが一度目の結婚をした時、私はまだ二歳だった。



後で、ありゃ結衣と稀ロスによる気の迷いだったな、と笑ってパパ達と話してたのを聞きかじり、何のこと?と聞けば、パパが珍しく慌てた様子で話題を変えた。



後でママに聞いたら、別れたお嫁さんは、乳母に子育てを任せきりのタイプで。
子供が体調が悪く、熱が高かったにも関わらず、遊びに出かけてしまい、そういうのが何度か続いて、結局話し合いの結果、二人目の子が産まれてすぐに別れたのだと言う。



「美作さんは、すごく子供好きでね。あなた達のことも産まれた時からとっても可愛がってくれたのよ。だから、きっと我慢出来なかったんだと思うわ。

ママ、美作さんにたくさん助けてもらったのに、彼が離婚するって時には、近くにいなくて、結局何にもしてあげられなかった。」



そう言うと、とても悲しそうにママは俯いた。
泣き出しそうなママを見て、ならママが結婚したら良かったのに、と思う。
誰かにミマの幸せを託すなんて、それってほら、他力本願ってやつよね?



ミマの息子達は、日本でミマのお母様と暮らしてる。
忙しくしながらも、定期的にミマは息子達に会いに行く。息子達がミマのところに滞在することも多い。そんな時はすごく嬉しそうだから、すぐに分かる。



ミマが、彼らに飛ぶように会いに行く姿を想像するだけで胸の中がもやっとする。
そしてミマがパパだなんて羨ましいな、と思う。



話がずれた。



「だからさ、結衣はどんな男の子が好き?」
目の前のさゆりが、半ば呆れたように、ぼんやりと意識を飛ばした私に視線を投げてくる。
最近、さゆりには同じクラスに彼氏ができた。
だから、次は結衣の番だと私の彼氏探しにとても積極的だ。



だけど、ミマ以外に好きな人なんて、出来るわけがない。
何度言っても、さゆりは関係ないとばかりに聞いてくる。



「ミマみたいな人。」
「だ、か、ら、それは分かってる。
でも美作さんは、うんと年上だもん。パパみたいなもんなんでしょ?」



そうだ、なんで私のパパはミマじゃないのかとため息が出る。
そしたら、ミマが結婚したらどうしよう、なんて怯える必要が無いんだから。




そう思った瞬間、昨日のパパとママがしていた話を思い出して、涙がこぼれそうになる。
そうだ、やっぱりママにお願いしてみよう。
ミマと結婚して欲しいって。



分かってる、こんなの子供っぽい考えだ。
ミマを他の人に取られたく無いからって、ママに結婚して欲しいって言うなんて。おまけにパパが許すわけがない。



ホットラインの番号にかけて、パパとママに内緒で相談があるんだと打ち明ければ、司は直ぐに来てくれた。



結衣がそんなこと言うの初めてだから、驚いて飛んできたと言って、本当に直ぐにニューヨークからジェットで飛んで来てくれた。



いつもありがとうございます。
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コメント

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Re: タイトルなし

7:23にコメント下さった方へ

こんにちは。
こちらこそいつもコメントありがとうございます。

終わりが寂しいと言って頂けるなんて、とても有り難く光栄です。
今回、ピュアな類つくではなくて申し訳なかったですが、私も類の飄々とした雰囲気が好きなので、今度は爽やかな方向で妄想してみたいと思います。

あと少し、最後までお付き合い頂けたらと思います。
よろしくお願いします。

Re: No title

ま***さま

こんにちは。

ほんとに司まで呼び出して、困った子ですね。
小さな頃の刷り込みは、影響も甚大です。
約束通り、マメに結衣の元に通ったであろうあきらの魅力に、結衣は完全に盲目状態です。

身近な男の子に興味を持つ日が来れば、いつか覚めるのでしょうが、それまでは類の気持ちにさざ波を立てることでしょう。(笑)

コメントありがとうございました。

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