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記事一覧

破鏡重円_11

「お前、本当にあの秘書と何もなかったのか?」「なに、突然?」類が意表を突かれたような顔をする。「寝たか?」「は?」「流石にないか、キスは?」「何?尋問?」若干今の状況に驚いたように目を見開きながら、俺を見てくる。「俺は男だからな、男の出来心には甘い。が、牧野を泣かせた罪は許しがたい。分かるか?この俺の難しい立場。さっきので分かったろ?牧野には、よそ見だって許し難いんだろうよ。許し難いって言うと言葉...

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破鏡重円_10

類に怒って、泣いて。類から離れると、その後には、俺にも私の味方のくせに、ひどいと照れ隠しで怒って膨れて。そうしてから、牧野はきちんと類と向き合う姿勢を見せた。いい子だ。今度こそ俺は席を外そうとした時、「行かないで。類と二人は嫌。」そう言うと、漏れた本音に、あっとばかりに牧野が気まずげにに類を見上げた。類は少しばかり寂しそうな空気を滲ませながら、それでも頷いた。「自業自得だと分かってるから…そんな顔...

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破鏡重円_09

「やっぱり、類は悪くないよ。だから謝らないで。私、類が大変なときに何もしてあげられなかった。むしろ、逆に悩ますようなことばかりして、ごめんなさい。私が一番近くにいたくせに、何にもできなかった。こうすればいいんだって頭では分かってたのに、やらなかったの。ひどい妻だよね。そんな時に、彼女がいて。それで類が救われて。だから、良かったって思った。私は彼女には有難うって思わなきゃいけないんだろうね…今日は、...

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破鏡重円_08

牧野は類を拒絶した。それも、俺の予想を超えたところで。✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱二人を会わせるのは、ド・ロレーヌ氏の定宿だと言うフォーシーズンズ ホテルにした。物憂げに部屋に入ってきた類が、部屋の真ん中にある大きなソファーに座る牧野を見つけるなり、一瞬止まる。その次の瞬間に驚愕の表情ではなく安堵の色を浮かべたことで、類の方は大丈夫だと改めて思う。もう類の気持ちにブレはないのだろう。対象的に牧野は、膝の上で固く...

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破鏡重円_07

幕間_side総二郎から、再び時間が遡ります。ーーーーーーーーーーそれから俺は、連絡をくれたド・ロレーヌ氏に挨拶に行った。氏は、年配と言うにはまだ若く、しかし俺たちよりは大分年上に見えた。「ようこそ。ご多忙の中、遠くからお越し頂き、ありがとうございます。お会いするのは初めてですが、少し前までパリにいたのでね、お噂はかねがね。花沢さん…いや、牧野さんだった頃にも、彼女からお名前は伺っていた。ミマサカさん、...

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幕間参_side総二郎

「昔一緒働いてた人が、ちょうどパリから少し離れた場所にいて、連絡したら、すぐにいらっしゃい、って言ってくれたから、会いに行ったんだ。その人の紹介でそこで家を借りて、彼の仕事のお手伝いしながら、どうしようかって考えてた。」「類は?」「探してくれてたみたいよ?ただ、自分名義の貯金があったから、花沢のカード類は使わない様にしてたし、場所なんかも花沢に繋がるのは避けてたから、すぐに行き先辿れなかったみたい...

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幕間弐_side総二郎

つくしと総二郎が、バッタリ街中で会った幕間の続きです。時系列が変わります。破鏡重円から14年後。ーーーーーーーーーーーまじか、あいつが牧野以外に食指が動くとかあり得るのか?驚く俺に、牧野が小さく笑って話を続ける。「あの頃、類もフランスでの成果を求められる時期で、立場的に重圧があったんだよね。年上の役員からは、若造扱いされるし、なんか色々しんどくて、誰かに寄り添って欲しかったんだと思う。でも私は二人目...

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破鏡重円_06

一頻り泣いてから、牧野が再び口を開く。「類が出張の予定を入れたの。多分、二人で行くバカンス兼ねたやつ…。それ知って、私もうダメだって思った。もう類とは居られないって。多分、私が行かないでって止めたら行かないんだよね、あの人は。自信過剰かもしれないけど、むしろ、今回の件ではっきり分かったの。あの子のこと、本当に好きになった訳じゃなかったんだよ。だってね、類の予定は、リアルタイムで花沢の屋敷のメイド長...

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破鏡重円_05

「美作さんは、知ってるの?知ってるから、類には言わずに来てくれたってことなんだよね?」そう言うと、すぅ、と息を吸い、まだ涙が浮かぶ瞳で俺を見上げる。「どんな風に聞いたか分からないけど…私も悪いんだ。類が悩んでるの、気が付いてたの。こっちに来て、業績は良好だったけど、昔からの役員とは考え方が合わなくて、折り合いが悪かったんだと思う。元々社長就任が早すぎるって声もあったみたいだから、なのにあの人、必要...

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破鏡重円_04

改めて二人でソファーに向き合って座り、本題を切り出す。「類が探してる」 告げるなり、反射的に返ってくる応え。「類に言われて、連れ戻しに来たの?」軽く首を傾け、伺うようにこちらを見る姿に、肩をすくめる。「まさか。お前をどうこうする力は俺にはねーよ。お前の友人として、ここに来た。俺はお前の意思を尊重する。今日のことも、類には話してない。」すると、牧野が決まり悪そうに目を伏せ、ごめんなさい、と小さく呟く...

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