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記事一覧

君だけを_01

牧野は綺麗になった。覆われていたベールが取り払われ、永い時を幾重にも守られていた宝珠が姿を表したかのように。眩い光は周りを明るく照らす。司と別れ、憑き物が落ちたようにスッキリとした笑顔が魅力的で、頑ななところが削れ、しなやかな女になった。眩しいほどに、綺麗になった。元々総二郎に磨けば光ると言われていたわけだし。そもそも司も俺も彼女の内面に惹かれたわけだし。外見も磨かれ、内面はもっとピカピカとくれば...

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君だけを_02

「るーい!」輪から外れて、向こうから走ってくる牧野。せっかく可愛いカッコしてるのに、仔犬みたい。「久しぶり!今日は講義あるの?」どこにいても、俺たちを見つければ走って来てくれる。それが、俺たちにとって彼女が特別なように、彼女にとっても俺たちが特別だと教えてくれる。「今日はあきらと総二郎も来るよ。お昼、ラウンジでね。」走ったせいで乱れた前髪を整えてあげながらそう言うと、うん!っと嬉しそうに笑ってくれ...

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君だけを_03

ラウンジで俺たちと牧野がいつものように過ごしていた時、ハリケーンのように突然現れた司。なんだよ、久しぶりじゃねーか、なんてあきらと総二郎は嬉しそうに笑って話しかけたけど、俺はいよいよ来た!と息を飲んだ。「ちょっとな。」なんて言いながら、ここ数年ですっかり大人びた司が、牧野の前に立ち、手を差し伸べて来い、と一言。いつもの笑顔が消えた牧野が、意外にも素直にうなづき、司の手を取り消えていく。「類、お前大...

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君だけを_04

ところが、牧野は戻ってきた。翌日、ラウンジに現れた牧野は真っ赤に腫れた目を気まずそうに伏せながら、司が今夜一人でニューヨークに戻ることを教えてくれた。腫れた目を冷やすために、あきらと三条が温タオルと冷タオルを用意して、牧野をソファーに横にならせ、タオルを順に目の上に置き、甲斐甲斐しく世話を焼く。「心配かけてごめんね、道明寺、婚約の話が出てるんだって。最後にもう一度やり直す気はほんとにないのか聞きに...

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君だけを_05

「牧野に会いたい」「それは花沢類として?花沢物産の跡取として?」ぐたりとテーブルに頭をつけて呟く俺に、三条が嫌味っぽく笑う。「どっちなら牧野は会ってくれんの?」牧野に会いたくて会いたくて。でもどこにいるか分からなくて、ヒントを求めに来た大学のラウンジ。牧野は、四年に上がるタイミングで、就職先を大河原に決めた。多分、本当は道明寺が良かったんだと思う。末端でも司を支えたくて。関わっていたくて。心友とし...

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Author:0004
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