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記事一覧

幕間壱_side総二郎

牧野じゃん。茶道会館からの帰り道、ふと目をやったセレクトショップのショーウィンドウの向こうに、ワンピースを手に取る牧野がいた。少しだけ髪を巻き、カジュアルだけど品のある美しさは、さすが花沢夫人。元々素養もあったんだろうが、上流階級の水に洗われ、今じゃ俺らの世界でも一級品だ。迷わず店内に入り、声をかける。「かーのじょ、お茶でもどう?」すでに俺に気がついていたのか、驚く気配もなく振り返る。「西門さんが...

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破鏡重円_01

タイトルの破鏡重円 〈はきょうじゅうえん〉は、離れたふたりがまた元に戻ること(注:意訳)的な感じです。敢えて想像がつくタイトルにしてます。ほのぼのからは離れます。大変申し訳ありませんが、どんなお話でも大丈夫!という方のみお進みくださいませ。♯昨日の幕間_side総二郎から、ぐっと時間が遡ります。 ーーーーーーーーーー欧州(こちら)で日系上流階級の世界は狭い。類の不穏な噂を耳にして、俄かに信じられないな...

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破鏡重円_02

「おまえ、どういうつもりなんだ?牧野はどこにいる?子供たちは牧野と一緒なんだろう?」俺の詰問に、類が顔を顰めて、首を降る。「怒鳴らないでよ。 今探してる。国外に出てないのは分かってるんだ。稀が産まれたばかりだし、結衣だってまだ小さい。まさか出て行くなんて思わなくて…警護も付けてなくて…油断した…」「お前は、その産後間もない嫁を置いて、本気でその秘書(オンナ)と出張行く気だったのか?」「…分かんないよ」...

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破鏡重円_03

密かに子連れの日本人女性を探させた。類の方は、おおっぴらに探せない立場だろうから。おまけに牧野の性格を考えれば、俺が先に見つけたほうが良いはずで。大河原で働いていた頃の知り合いがいると聞いたことのある地方には、人も派遣した。ーーあなたにとって、彼女はどんな存在ですか?そんな時に繋がった一本の電話。「貴方が花沢さんを探していると聞きました。」そんな風に、突然会社の回線に掛かって来た男性からの連絡。牧...

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破鏡重円_04

改めて二人でソファーに向き合って座り、本題を切り出す。「類が探してる」 告げるなり、反射的に返ってくる応え。「類に言われて、連れ戻しに来たの?」軽く首を傾け、伺うようにこちらを見る姿に、肩をすくめる。「まさか。お前をどうこうする力は俺にはねーよ。お前の友人として、ここに来た。俺はお前の意思を尊重する。今日のことも、類には話してない。」すると、牧野が決まり悪そうに目を伏せ、ごめんなさい、と小さく呟く...

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